Data Science

リモートセンシングで地球を解析!Google Earth Engine でできること


 近年、ビッグデータやAIの発展により、さまざまな分野でデータ活用が進んでいます。その中でも、特に注目されているのが 「衛星データ」 です。衛星を活用すれば、地球規模での環境変化や都市開発の進行状況を把握したり、農業や防災、インフラ管理など、幅広い分野で活用できます。

 今回は、2月21日に開催された 福岡県宇宙ビジネス研究会の「衛星データを活用したビジネス創出ワークショップ(基礎編)」に参加してきた内容をもとに、衛星データの基本や実際に触ってみた体験、データをビジュアル化する手法についてまとめてみました。
 このセミナーでは、講師の田中さん(株式会社 sorano me)が講義とワークショップを通じて、衛星データの基本から、ビジネスやDXにおける活用方法、実際にデータをどのようにビジュアル化して解析するのかを、わかりやすく解説してくださいました。

 ・衛星データとは? どのような種類があるのか?
 ・ビジネスやDXにおいて、どのように活用できるのか?
 ・実際に衛星データを可視化し、解析する方法とは?

 こうした内容を実践的に学べる貴重な機会でした。もし「衛星データを使ってみたいけど、何から始めればよいかわからない」という方がいれば、ぜひ参考にしてください。最後までご覧いただければ、きっと新たな一歩を踏み出す手助けになると思います! 🚀

ブログ作成者紹介

Vareal株式会社
名前:W.H
部署名:データサイエンス部
役職 (ポジション):データサイエンティスト
業務内容:生成AI(Chatbot)ソリューション開発、AI・データサイエンスを活用したビジネス課題の解決支援・提案など
得意なこと:書くこと (考察 & レポーティング)
趣味:読書、散歩、映画鑑賞

目次

  • 衛星データを活用したビジネス創出ワークショップ (基礎編)
  • 福岡県宇宙ビジネス研究会とは?
  • ワークショップの講師:田中康平さん (株式会社sorano me)
  • 「空畑」って?
  • リモートセンシングとは?
  • 地球観測衛星と気象衛星の違い
  • 低コスト小型衛星による地球全体の観測網
  • 衛星センサによる電磁波観測
  • センサの種類
  • 地球観測衛星の軌道
  • なぜ静止軌道は地球観測衛星に向かないのか?
  • 地球観測衛星の解像度とは?
  • 地球観測衛星の観測幅
  • 衛星データが支える私たちの暮らし
  • 衛星データの活用ポイント!
  • 衛星データをあなたなら何に使いますか? (JAXAのYouTube動画)
  • 衛星データの海面温度で魚場を決める! (セミナーでの紹介事例)
  • 日本の衛星データサービス「Tellse」と「Skyfi」
  • 欧州の衛星データにアクセスできる「Copernicus Browser」
  • データ分析に特化した「Google Earth Engine」
  • GEEで利用できるデータセット「Earth Engine Data Catalog」
  • 気温データを可視化してみよう! (ワークショップの演習1)
  • ColabでGEEのAPIを呼び出してみよう! (ワークショップの演習2)
  • 地球上のあらゆる地点の変化を捉えるアプリ「GRASP EARTH」
  • 環境・災害監視、気候変動の追跡に強い「Sentinel Hub」
  • カスタムスクリプトの技術やアイデアを競う「Sentinel Hub Custom Script Contest」
  • 「今のどこどこのデータが欲しい…」という時
  • おわりに
  • 衛星データを活用したビジネス創出ワークショップ (基礎編)

     福岡県宇宙ビジネス研究会が主催する「衛星データを活用したビジネス創出ワークショップ」には、基礎編とビジネス編の2つのセッションがあります。今回はそのうちの基礎編に参加してきました。

     基礎編では、衛星データの基礎を学び、実際に触れてビジュアル化する体験を通じて、データ活用の第一歩を学びました。なお、3月14日に開催されるビジネス編は、衛星データを用いたビジネス創出に焦点を当てた内容となっています。

    福岡県宇宙ビジネス研究会とは?

     福岡県宇宙ビジネス研究会は、福岡県が「宇宙ビジネス創出推進自治体」に認定されたことを契機に設立された団体です。約50社が参加しており、衛星データやロケット開発を活用した宇宙ビジネスの振興に取り組んでいます。また、国内最大の宇宙国際会議 (ISTS)の招致成功や、企業の上場など実績も積み重ねています。
    (参考:小特集「福岡県発の技術で宇宙にチャレンジ (グラフふくおか 2024 SPRING)」)

    ワークショップの講師:田中康平さん (株式会社sorano me)

     田中康平さんは、株式会社sorano meの共同創業者であり、技術統括を担当しています。2017年に総合研究大学院大学の宇宙科学専攻を修了後、「宙畑」などで活動し、宇宙ビジネスを技術的な側面から支えてきました。特に、衛星データを活用したデータ解析や新規事業の開発に注力しており、その知識と経験は、宇宙ビジネスの世界で多くの人々に影響を与えています。

     また、sorano meでは、衛星データを活用した新規事業支援や人材育成にも力を入れており、これから宇宙ビジネスに携わりたいと考えている人々に対して、実践的なサポートを行っています。

    「空畑」って?

     「宙畑 (Sorabatake)」は、宇宙ビジネスや宇宙産業に関連する情報を発信する日本のメディアです。このメディアは、宇宙関連の最新の技術や事業情報を提供し、宇宙ビジネスに関心を持つ人々や企業に向けて有益なコンテンツを発信しています。特に、宇宙産業の動向や新たなビジネスチャンスに関する洞察を深めることを目的としています​。

     宙畑は、業界内の動向に加えて、衛星データの活用方法やそれを使った具体的な事例 (例えば、衛星画像を使ったビジネス提案)も紹介しており、宇宙ビジネスをより実践的に理解できる場を提供しています。


    リモートセンシングとは?

     リモートセンシングとは、遠く離れたところ (リモート)から、対象物に触れずに対象物の形や性質を測定する (センシング)技術のことです。
     地球観測衛星は、地球のはるか上空の宇宙空間から、地球上で起きる自然現象や災害、私達人間の活動が地球にもたらす変化を測定しているので、まさに「リモートセンシング」を行っているといえます。


    (参考:地球観測衛星データサイト「Earth-graphy」HP, 地球観測衛星の基礎知識 – リモートセンシングと放射伝達)

    地球観測衛星と気象衛星の違い

     地球観測衛星とひまわり (気象衛星)は、どちらも地球の観測を行っていますが、主にその距離や用途において異なります。

     このように、地球観測衛星は地球に近い距離で詳細な観測を行い、ひまわりは静止軌道で広範囲に気象データをリアルタイムで提供しています。


    低コスト小型衛星による地球全体の観測網

     地球観測衛星は、約500~2,000kmの低軌道を周回しているため、観測できる範囲は限られています。タイミングが合わないと、希望する地点の観測ができないこともあります。しかし、複数の衛星が同時に運用されているため、地球全体をカバーすることが可能となり、広範囲でのデータ取得が実現しています。

     さらに、近年では小型衛星の打ち上げが低コストで行えるようになり、これにより、ひまわりのような大規模で高コストな衛星を打ち上げるよりも、小型衛星を多数運用する方が一般的になってきました。このようなコスト面での利点により、小型衛星がより多く利用され、効率的な地球観測が可能となっています。


    衛星センサによる電磁波観測

     地球観測衛星は、宇宙から地球の環境や自然現象を測定するために、可視光や赤外線、マイクロ波などの電磁波を観測します。これにより、目では見えない地球の様子を捉えることができます。

     このように、地球観測衛星は可視光だけでなく、紫外線・赤外線・マイクロ波などの幅広い電磁波を利用して観測を行っています。紫外線はオゾンホールの監視に、可視光は地表面の画像取得に、赤外線は土地被覆や温度測定に、マイクロ波は水蒸気量や降雨の構造解析に活用されています。


    センサの種類

     地球観測衛星のセンサには、SAR、光学センサ、赤外線センサの3種類があります。SARは電波で昼夜や天候に影響されず観測でき、地形変化などの監視に使用されます。光学センサは可視光や近赤外線を捉え、昼間の地表観測に適しています。赤外線センサは熱赤外線を測定し、夜間でも地表の温度や火山活動を観測できます。

     このように、各センサにはそれぞれの特性があり、目的に応じて使い分けることができます。


    地球観測衛星の軌道

     人工衛星の軌道は、目的によって異なります。例えば、気象衛星「ひまわり」は静止軌道を利用し、常に同じ地点の天気を監視します。一方、地球観測衛星は主に太陽同期準回帰軌道を使用します。この軌道は、衛星と太陽の位置関係が一定で、太陽光の入射角がほぼ一定に保たれるため、地球表面からの放射や反射を均等に観測できます。さらに、準回帰軌道の特徴として、衛星は一定の周期で同じ地点を通過し、災害や農業のモニタリングに役立ちます。それぞれの軌道には特徴があり、目的に合わせて使い分けられています。


    なぜ静止軌道は地球観測衛星に向かないのか?

     人工衛星には 静止軌道 という選択肢もあります。静止軌道とは、地球の自転と同期することで、常に同じ地点を観測し続けられる軌道のこと。

     気象衛星「ひまわり」は、静止軌道を利用することで、日本周辺の雲の動きを24時間監視しています。しかし、静止軌道にある衛星は高度が高すぎる (約36,000km)ため、細かい地表の変化を捉えるのには向いていません。そのため、より高解像度の画像が必要な環境モニタリングや災害監視には、太陽同期準回帰軌道の衛星が活躍します。

    地球観測衛星の解像度とは?

     地球観測衛星のセンサがどれだけ細かく地表を捉えられるか、これを表すのが「解像度」です。解像度が高ければ高いほど、地面の細かなディテールまで観測できるため、精度の高いデータが得られます。別名、分解能や空間分解能とも呼ばれます。
     さて、2種類の衛星画像を見てみましょう。同じ地域を異なるセンサで観測したものですが、センサの解像度や特徴が違うことで、見え方に大きな差が出ることがわかります。

     ちなみに、地球観測衛星の分野では、分解能と解像度は厳密には同一ではないらしいです。分解能 (Ground Sampling Distance)は、衛星に搭載しているセンサがその軌道を周回する「センサの性能として」どの程度の細かさでデータを取得できるかを指し、解像度 (Resolution, pixel size)は「衛星データとして」エンドユーザに提供される時に画像の1ピクセルが地表面の何mに相当するかを表す。とのこと。(詳しくは下記のリンクを参照)

    地球観測衛星の観測幅

     地球観測衛星に搭載されたセンサは、観測できる範囲を「観測幅」と呼び、これは軌道と直交した方向の幅を指します。観測幅は「走査幅」とも呼ばれ、衛星はこの範囲を帯状に観測し、適切なサイズ (シーン)に切り出してデータを提供します。観測幅やシーンの大きさは、センサの種類によって異なります。

     例えば、気候変動観測衛星「しきさい (GCOM-C)」では、可視センサの観測幅は1150km、熱赤外線センサは1400kmであり、同じ衛星でも搭載センサによって観測幅が異なることがわかります。
    (参考:地球観測衛星データサイト「Earth-graphy」HP, 地球観測衛星の基礎知識 – 地球観測衛星の種類,「地球観測衛星の観測幅」)

    衛星データが支える私たちの暮らし

     私たちの暮らしに欠かせない天気予報や災害情報。その裏側で活躍しているのが、地球観測衛星です。大気環境や気候変動、自然災害、海洋環境、土地利用など、広い範囲のデータを取得し、さまざまな分野で活用されています。

     例えば、黄砂やPM2.5などのエアロゾルや温室効果ガスを観測することで、大気の状態や地球温暖化の影響を把握できます。また、地震や火山活動のデータは災害リスクの評価に役立ち、台風や降雨、洪水の状況をリアルタイムで監視することで、防災対策にもつながります。さらに、海面温度や植生分布のデータは、漁業や環境保全にも貢献。

     こうした衛星データの活用は、私たちの安全で持続可能な社会づくりに欠かせないものとなっています。空から地球を見守る技術が、未来の暮らしを支えているのです。
    (参考:地球観測衛星データサイト「Earth-graphy」HP, 地球観測衛星の基礎知識 – 地球観測衛星の種類,「地球観測衛星データからわかること」)

    衛星データの活用ポイント!

     講義の中で、田中さんは、衛星データの活用 (リモートセンシング)を考えるポイントとして、以下の3つのケースを挙げられていました。

    Case 1:人が見に行けない場所

     衛星データを活用することで、現地に行けない場所の状況をリアルタイムで把握することができます。例えば、石油タンクの備蓄量や地下鉄工事の陥没、災害時のインフラ状況 (断線など)の監視が挙げられます。これにより、現地調査の手間を省き、迅速な意思決定が可能になります。他にも、ANA航空機にセンサーを取り付けてCO2濃度をチェックするといったアイデアの話もありました。

    Case 2:見続けるのにコストがかかる場所

     長期間、あるいは、定期的な観測を行うケース。長期的な環境変化を監視するために、衛星データを活用することでコストを削減できます。例えば、海水面の上昇などの長期的なデータ収集が可能となり、継続的な観測を効率よく行うことができます。

    Case 3:大半は見て回る必要がない場所

     災害時などには、衛星データを使って特定エリアを絞り込むことができます。これにより、支援や物資の供給場所を決定するための迅速な意思決定が可能となります。例えば、浸水被害の範囲や、水道管の漏水、凍結のリスクがある場所を特定することができ、効率的な資源配分が可能になります。

    衛星データをあなたなら何に使いますか? (JAXAのYouTube動画)

     JAXA (宇宙航空研究開発機構)の過去のYouTube動画では、暮らしやビジネスでの衛星データの活用事例がわかりやすく解説されていました。


    衛星データの海面温度で魚場を決める! (セミナーでの紹介事例)

     ちなみに、セミナーでは、先ほどのJAXAのYouTube動画にも出てくる「衛星データの海面温度で魚場を決める」といった事例を挙げて、解説されていました。講師の田中さんも「釣り」をすることがあるらしいですね。


    日本の衛星データサービス「Tellse」と「Skyfi」

     日本には、衛星データを手軽に利用できるサービスを提供している企業があります。その一つが Tellse という企業で、ユーザーがアプリを使って特定の範囲を選択すると、衛星データの価格が表示される仕組みを提供しています。ユーザーは、希望する領域を選んで「いくらになるか」を簡単に確認できます。

     また、Skyfi というアプリも、衛星データの配信サービスを行っています。このアプリでは、ユーザーが指定した面積や解像度に基づいて、衛星データの価格を表示します。例えば、「この分解能で、この面積ならいくらです」といった形で、必要なデータを簡単に取得できるサービスです。

    欧州の衛星データにアクセスできる「Copernicus Browser」

     こちらのコペルニクスブラウザー (Copernicus Browser)は、欧州連合 (EU)のコペルニクスプログラムが提供する、地球観測衛星データの大規模プラットフォームです。このプログラムは、Sentinel衛星をはじめとする複数の衛星から得られる地球の環境データを、グローバル規模で提供しており、世界中のユーザーが利用できるようになっています。

     画面右上の検索欄で地域を指定して…

     NDVI計算や植生の健康状態を解析したりできます。NDVIは植生の健康度を示す指標で、値が高いほど植生が健康であることを意味します。例えば、下図の様な「福岡県八女市の茶畑」のNDVI画像では、濃い緑色のエリアが生育状態の良い場所を示しており、これは高いNDVI値を持つ健康な茶畑を表しています。


    データ分析に特化した「Google Earth Engine」

     Google Earth Engine (グーグル・アース・エンジン)は、大量の衛星画像や地理空間データを処理できるデータ分析プラットフォームで、複数年にわたる気候変動や土地利用の変化を追跡できます。PythonやJavaScriptを使用して、データの抽出、加工、可視化、解析を行い、カスタム分析が可能です。環境保護や気候変動、土地利用の変化の研究などに役立っています。



    GEEで利用できるデータセット「Earth Engine Data Catalog」

     Earth Engine Data Catalog は、Google Earth Engine (GEE) が提供する大規模な地理空間データのカタログです。地球観測データや地理空間データセットをクラウド上で管理し、解析できるようにしたものです。これにより、研究者や開発者はリモートセンシングデータや地理情報を効率的に利用できます。


    気温データを可視化してみよう! (ワークショップの演習1)

     Google Earth Engineでは、CODE EDITORというページ上で、スクリプトを書いて実行すると、視覚化された解析画像が地図上に表示されます。ワークショップの演習では、「Earth Engine Data Catalog」の気候データを使って、2020年7月の1ヶ月間の気温データ(2m高さ)を可視化してみました。


    ColabでGEEのAPIを呼び出してみよう! (ワークショップの演習2)

     さらに、先ほどのスクリプトをベースに、Google Colab上でGoogle Earth Engine (GEE)のAPIを呼び出して、同様の解析画像を表示させてみました。これには、ChatGPTを上手く使うのがコツだと教えて頂きました。

    ChatGPTによるPythonスクリプトの生成

     やり方は意外と簡単です。ChatGPTに「ベースとなるスクリプト」と「このコードをColabで実行できる様にしてください。」「日本語で説明して」といったプロンプトを渡すと、Pythonコードを自動で生成し、解説までしてくれます。最近のGPTはすごいですね。

     まずは、先ほどのスクリプトをコピーして…、

     ChatGPTに質問すると…、



     このように、ColabからGEEのAPIを呼び出すPythonコードを生成してくれます。

     ただ、これをそのままColabにコピーペーストして実行して、「可視化できた…」とはいかず。「GEEの認証設定がない」とか「可視化する為のパッケージがインストールされていない…」とか色々とエラーが発生するので、何度かそのエラー文を再度ChatGPTに渡して、不足しているコードを提示してもらったり、コード修正してもらう必要があります。

    温度変動の大きいエリアを可視化 (アレンジ)

     さらに、ChatGPTに追加で「月間の温度変動の大きいエリアを可視化するコードに変更したい。」といったプロンプトを渡して、解析画像を追加でアレンジしたりすることも簡単にできます。(下図では、日ごとの最大・最小気温の差を計算し、5℃〜30℃で可視化しています。)


    地球上のあらゆる地点の変化を捉えるアプリ「GRASP EARTH」

     また、Google Earth Engineを使用した「GRASP EARTH」というアプリケーションもあります。これは、直感的に操作できるウェブベースのツールで、全球規模の地表変化を簡単に検出・分析できる機能を提供しています。

     GRASP EARTHは、SAR画像をベースとしたアプリケーションである「GRASP EARTH SAR」と、光学 (カラー)画像をベースとしたアプリケーションである「GRASP EARTH COLOR」の2つで構成されています。

     ・GRASP EARTH SAR (どこで変化がおこっているのか、いつ変化したのかがわかる)
       SAR (合成開口レーダー)画像を活用し、地表の変化がどこで、いつ発生したのかを検出。
      これにより、昼夜や天候に関係なく、地表の動きや変化を精密に追跡できる。

     ・GRASP EARTH COLOR (どのように変化したのかがわかる)
       光学 (カラー)画像を基に、変化がどのように進行したのかを視覚的に捉える。
      これにより、SAR画像では捉えきれない視覚的な変化や詳細が明確に表示される。

    (参考:全球変化検出サービス「GRASP EARTH」とは? (宙畑)」)

    環境・災害監視、気候変動の追跡に強い「Sentinel Hub」

     Sentinel Hubというサービスもあります。こちらは、特に欧州宇宙機関 (ESA)が運用しているSentinel衛星シリーズから提供されるデータを活用することを目的としています。Sentinel衛星は、地球の環境監視や災害の監視、気候変動の追跡などに使用される衛星です。
     また、Sentinel Hubは、これらの衛星データを効率的に検索、取得、視覚化するためのツールを提供し、ユーザーが地球観測データを簡単に利用できるようにしています。
    (次のような特徴があります)

     ・データアクセス
       Sentinel-1 (レーダー衛星)やSentinel-2 (光学衛星)などの多様な衛星データを取得できる。
     ・画像処理
       クラウド上で、データの前処理や解析を行う機能がある。
     ・APIとインターフェース
       APIアクセスもサポート (開発者や研究者が、簡単に地球観測データを取得できる)
     ・可視化ツール
       データの可視化を行うツールもある。(衛星画像をインタラクティブに表示)

     このプラットフォームも、環境監視、農業、森林管理、都市開発、災害対応など、さまざまな分野で利用されています。

    カスタムスクリプトの技術やアイデアを競う「Sentinel Hub Custom Script Contest」

     「Sentinel Hub」には、カスタムスクリプトの技術やアイデアを競う「Sentinel Hub Custom Script Contest」というコンテストがあります。Kaggle (機械学習・データ分析コンペ)の衛星データ版といったイメージでしょうか。このコンテストは、リモートセンシング技術を活用して衛星データ解析を促進することを目的としており、Sentinel Hub EOブラウザーなどのツールを使って、誰でも衛星データをリアルタイムで参照、分析、視覚化できるようにするために開催されています。


    「今のどこどこのデータが欲しい…」という時

     衛星データは非常に便利ですが、いくつかの制約もあります。

    制約 1:たまたま衛星が近くを飛んでいれば可能

     衛星が観測したい場所を通過していないと、リアルタイムでのデータ取得は難しい場合があります。衛星の軌道によってタイミングが影響を受けます。

    制約 2:地上データも必要、組み合わせる

     衛星データだけでは完全な情報を得ることは難しいため、地上のセンサーやデータと組み合わせて、より精度の高い解析を行うことが重要です。

     ここはなるほど、確かに…と感じました。たとえば、当社の場合だと、開発支援しているAIソリューションの1つに、土石流などの異常を知らせる「自然災害検知AI」があって、これは、河川近辺に設置している地上のカメラ画像データを元にAIモデルの設計 (学習など)を行っているのですが、衛星データによる異常発生時の河川画像を組み合わせれば、さらに精度の高い予測ができたり、カメラを設置するのが難しい場所(通信環境の良くない山間部など)の情報(画像データ)も活用することができるのでは…? と思いました。


    制約 3:雲や天候により、見続けることはできない

     衛星は天候や雲に影響されるため、視界が遮られるとデータ収集ができません。特に雲の多い地域では観測が難しいことがあります。

    おわりに

     いかがでしたでしょうか。Google Earth Engine を使って、衛星データをどのように活用し、リモートセンシングで地球を解析できるのか、イメージが湧いてきましたか? 実際に手を動かしてみると、その解析方法やデータの可視化がこれほど簡単にできることに驚かされます。これを活用すれば、様々な分野で新たなビジネスや研究の可能性が広がること間違いなしです!

     という事で、今回は、福岡県宇宙ビジネス研究会が主催する「衛星データを活用したビジネス創出ワークショップ (基礎編)」で学んだ事の復習を兼ねて、「リモートセンシングで地球を解析!Google Earth Engine でできること」というブログを書いてみました。5時間のワークショップでしたが、衛星データの仕組みから活用事例、「Google Earth Engine」や「Earth Engine Data Catalog」などを使った解析方法まで…盛りだくさんの内容でした。

     田中康平さんのわかりやすい解説をもとに、衛星データがどれだけ多くの分野で役立つかを実感でき、今後の活用方法にワクワクしています。興味のある方は、ぜひこの技術を使って新たな可能性を広げてみてください!


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