埼玉医科大学総合医療センターリウマチ・膠原病内科
所在地 :〒350-8550 埼玉県川越市鴨田1981(Google Map)
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CT検査や病理組織検査などの侵襲のある検査を未然に防ぐため、特定の疾患に罹患している患者と健常者の顔画像をAIで分類し、分類結果を可視化する研究を埼玉医科大学様と共同で行っております。
リウマチ膠原病内科では、国内に10万人以上が発症していると言われている、難病と指定された膠原病の研究を行っています。
膠原病の疑いがある場合、血液検査に加え、CTなどの画像検査、病理組織検査をして診断するのが一般的ですが、このような検査は患者の身体に負担がかかるため、診断の補助ツールとして患者の顔画像からAIが事前に罹患者であるか判断できれば、侵襲のある検査を未然に防げるのではないかという考えがありました。
膠原病疾患の中には「顔のある部分に特徴があるのではないか」という医師による仮説があったため、この特徴をAIが学習すれば膠原病に罹患している患者かどうかを判断できるのではないかと考え、画像分類AIの領域で研究をご支援させていただきました。
ディープラーニングでは1クラスにつき5,000件以上のデータが必要と言われているなか、本研究は特定の疾患に罹患した患者と健常者で研究へ協力いただける被験者のデータのみを利用するため、約100件程度の少ないデータ数で検証する必要がありました。
顔に変化がある部分を強調させる画像加工を施す上で、少ないデータ数から高精度を目指すために様々な工夫を凝らしました。
AIの設計においては、1400万枚以上の画像で事前学習されたモデルを用いて転移学習することで、少ない画像からより精度の高い学習を実現できました。
上記を取り組んだ結果、AIの分類精度を向上させることに成功し、目標とした正解率を上回る結果が得られました。
また、顔画像から分類根拠となる部分を可視化するためXAIと呼ばれる技術を採用いたしました。
この技術により、「顔のある部分に特徴があるのではないか」という仮説が正しい可能性があると証明され、次回の検証に繋がる結果となりました。
※XAI(Explainable AI):AIの分類根拠を可視化するために使用する技術。AIの分類結果は一般的にはブラックボックスと言われており、正確に分類できていても何を根拠として分類したのか可視化することはできないため、XAIを用いてAIの分類根拠を解釈させます。「説明可能なAI」と呼ばれる。
今回の共同研究開発の成果をレポートとして提供させていただきました。
本研究結果は、膠原病に対する事前の仮説とAIによる画像診断結果に近似性があることが判明し、有意義な結果となりました。
また、研究開発の成果として提供したレポートをもとに日本リウマチ学会で本研究を発表いただき、多くの反響がありました。
今後は、本研究へ興味を示していただいた海外の医療機関などとも連携を取り、データ数を増やして次なる研究フェーズへ進む予定です。