韓国の感染者状況要約
最近、韓国のクラブでコロナウィルスの感染が広がって第2波が来たと言う記事をご覧になったことがあると思います。しかし、韓国の感染者は爆発的に増加していきませんでした。その理由はなぜでしょう。
クラブから最初の感染者が発見されて3日間で56,000人が検査を受けました。クラブの地域で活性化されていた携帯信号をすべて追跡し、その場にいた人とその人の家族、同じ会社員、友達などに連絡し検査を行ったからです。感染者を社会から分離し感染が広がる可能性を抑えた韓国にはどんなシステムがあったのでしょうか?
感染拡大防止対策
ウイルスの感染拡大を防止するには2つの条件があります。
1. ワクチンの開発
2. 集団免疫
新型コロナウイルスのワクチンの開発は早くても1年以上の時間が必要だと言われています。ワクチンが開発されるまでは集団免疫で感染が広がることを防くことができます。集団免疫ができる条件は人口の60%が抗体を持つことだと言われています。左の図は集団免疫の概念を説明しています。抗体を持っている人が増えると、感染の拡大を防げるということが分かります。問題はどれだけの速度で集団免疫の条件である、人口の60%が抗体を持つということを達成するかにあります。感染速度が早すぎると医療崩壊が起こり、犠牲者がたくさん出てきます。犠牲者を最小限にするには、感染者を社会から分離し感染が広がらない様にするシステムが必要です。
IT技術の支え 韓国の追跡システム
2020年3月24日から新しいシステムが導入されました。
感染者の個人情報を入力すると移動経路、どこに何時間滞在したのか、ということまで分かります。
他の感染者の情報と組み合わせることで、どこで感染したのかということまで知ることができます。
感染の危険がある地域には、注意するようにすぐ報道がなされます。
この調査結果が出るまでの時間はたった10分です。
以下はこのシステムに関する公式映像です。
このシステムは以下の通りに動作します。
これらの調査が可能だったのは以下の技術を準備していたからです。
1. スマートシティ
2. GPS追跡
3. クレジットカード履歴
1. スマートシティ
スマートシティとは人々の暮らしをよくするためのIT技術、建設などの技術を使って多様なサービスを提供するシティです。ビックデータ(交通、エネルギー、環境、安全など)を分析して色んなサービスを開発しています。
・ 新型コロナ対策でのスマートシティの役割
スマートシティがデータハブの役割をしています。
28の国家機関をオンラインで連結し、素早い情報共有が可能になりました。
2. GPS追跡
感染者が提供するスマートフォンのGPS及び通信会社が提供する情報を利用します。
3. クレジットカード履歴
現在韓国では、現金をほぼ使わなくなりました。
ほとんどの人はクレジットカードやスマートフォンの決済手段を使います。
全ての店が全てのカード会社と契約しているという事が、日本との一番大きな違いです。
クレジットカードを受け取らない店は1年以下の懲役や1000万ウォン(約100万円)以下の罰金を払うことになっています。色々な理由はあると思いますが、主に脱税を見逃さないためだったり、売り上げを誤魔化さない様にするためです。
・ 新型コロナ対策でのクレジットカードの役割
今回新型コロナ対策として銀行とカード会社が協力しています。
そのため決済した履歴が分かり、移動経路を把握できるようになりました。
4. 既存のシステムとの違い
1. 移動経路分析
・聞き取り→自動分析
・他人に知られたくない移動経路を隠すために嘘をつく人もいますが、記録された情報は嘘をつきません。
2. 感染者の個人情報管理
・書類管理→システム管理
3. 国家機関の間で連結
・機関の間で個別連絡→リアルタイム情報共有
5. セキュリティ対策
個人情報の不必要な使用を防止し、責任ある行政を遂行するように構築されています。
1. 外部と接続できない専用ネット
2. 2重ファイアウォール
3. ログイン管理
4. システムに接続、情報閲覧など全ての行為を記録する
このシステムは一時的に運営され新型コロナが終息次第、個人情報を破棄する予定です。
そのシステムに対しての社会効果
このシステムが存在する1番の理由は国民の安全を守ることで社会的混乱が起きないようにすることです。国民は安心して経済活動を行うことができます。国民が不安になると予測不能な事件が発生し、社会システム全体が崩れることも予想できます。人々は分からないことに恐怖を感じます。いつ、誰に感染させられるか分からない状態だと不安になります。国民のいない国はありえません。国は国民の、国民による、国民のための国民を守るシステムを作るべきです。
今後の医療分野へのITの役割
1. 情報共有
– 情報共有はIT技術の存在する理由と言っても過言ではないでしょう。医療分野でも全世界的に情報共有のために、IT技術が使われています。全世界の問題に関して、研究結果が共有され課題を乗り越えています。
2. 遠隔医療
– 医療業界の中には反対の意見もありますが、時代の流れでいつかは遠距離診断が現実になると思います。乗り越えなければいけない色々な制度的、技術的な問題はあります。しかし距離を問わず医療サービスを利用できるので、色々な状況で人の命を助けるようになるでしょう。
3. AI診断
– AI技術が発展していきながら、どんどん人間の限界を超えつつあります。今まで人間が判断できなかった小さな数値の変化で病気を早めに発見できる時代が来ると思います。
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参考資料
https://www.yna.co.kr/view/AKR20200410149400003
https://smartcity.go.kr
http://news.kbs.co.kr/news/view.do?ncd=4422740
http://m.biz.khan.co.kr/view.html?art_id=202003252141005
http://tbs.seoul.kr/news/newsView.do?typ_800=1&idx_800=3387881&seq_800=20380458